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バーチャルオフィスの住所で法人登記のメリット・デメリットと注意点

会社設立に際し、住所(本店所在地)のみを借りられるバーチャルオフィス。本来なら家賃が高額となる都心の一等地を住所として登記できることから、取引上の信用を高めたい経営者たちから注目されている選択肢のひとつです。

ここでは、バーチャルオフィスのメリットやデメリット、会社設立する際の注意点などについて解説しています。

バーチャルオフィスとは?

バーチャルオフィスとは、住所だけを借りたオフィスを言います。実際に事務や営業を行う空間があるわけではなく、形式的な住所のみが存在するオフィスです。
物理的な空間が存在しない以上、顧客を招いての商談や電話営業などはできません。商談・電話営業などを行う場合には、実際に存在する空間が別途必要となります。

バーチャルオフィスを住所にして会社設立登記をすることは可能

商業登記法では、会社設立時の住所(本店所在地)に関する制限がありません。そのため、自宅や賃貸マンションなどを住所として会社設立することはもちろん、バーチャルオフィスを住所として会社設立することも可能です(賃貸マンションで会社設立する際には賃貸契約を確認する必要があります)。

ただし、法律では同一住所に同一商号の法人を設立できないこととなっているため、バーチャルオフィスで会社設立する際には、同じ住所を借りた同一商号の法人がないかを事前に確認する必要があります。

バーチャルオフィスで会社設立するメリット

バーチャルオフィスで会社設立する主なメリットを3つ見てみましょう。

一等地の住所を本店所在地にできる

バーチャルオフィス用としての住所は、都心の一等地にもたくさんあります。それら一等地の住所を自社の所在地として登録すれば、名刺を見た取引先からの信頼が上がるかもしれません。

なお、登録した住所に実際のオフィスがなかったとしても、バーチャルオフィスを提供している業者が、必要な際に会議室を利用できるサービスを用意していることもあります。

そのようなサービスを用意しているバーチャルオフィスを契約すれば、重要な対面商談を積極的に設定することも可能です。

家賃などのコストカットができる

実際のオフィスを借りる家賃に比べ、バーチャルオフィスの住所のみを借りるコストは圧倒的に安く済みます。水道光熱費や共益費なども掛からないため、事業運営に掛かる固定的なランニングコストを大幅にカットできるでしょう。

自宅を知られる恐れがない

自宅を本店所在地として登録した場合、取引先の担当者などに自宅を知られることになります。仕事とプライベートを切り離したい経営者にとって、たとえ取引先の担当者とは言え、家族の生活拠点である自宅を知られたくはないでしょう。
バーチャルオフィスであれば、自宅を知られる恐れがありません。

バーチャルオフィスで会社設立するデメリット

バーチャルオフィスで会社設立する主なデメリットを3つ見てみましょう。

別で営業スペースを用意する必要がある

バーチャルオフィスには実際の営業を行う場所がないため、事業運営するためには、別で営業スペースを用意する必要があります。

自宅を営業スペースとする場合には家賃が掛かりませんが、賃貸オフィスなどを借りる場合には、バーチャルオフィスの利用料金に加えて家賃や水道光熱費、共益費などが掛かります。

一等地に住所を持つことで取引先の信頼につながる可能性はありますが、必ず別で営業スペースを設けなければならない以上、バーチャルオフィスを借りる必然性はないと感じるかもしれません。

取引先の信用を低下させてしまうリスクがある

取引先が本店所在地をインターネットで検索すれば、その住所がバーチャルオフィスであることを簡単に知ることができます。

既に厚い信頼関係を構築していれば、たとえバーチャルオフィスであることを知っても取引を停止することはないかもしれませんが、まだ十分な信頼関係を築けていない取引先や新規開拓中の企業の場合、信用低下につながる可能性もあります。

バーチャルオフィス運営会社の倒産に巻き込まれる可能性がある

バーチャルオフィスの運営会社が倒産した場合、速やかに法務局へ出向いて登録している住所を変更しなければなりません。

変更後の住所が同じ法務局の管轄内であれば住居変更手数料は3万円、異なる法務局の管轄内であれば6万円となります。住所変更手続きを司法書士などに依頼する場合には、別で費用が掛かります。

バーチャルオフィスで会社設立する際の注意点

利用の仕方によってはメリットの多いバーチャルオフィスですが、実際に利用する際には、いくつかの注意点を理解しておく必要があります。バーチャルオフィスを利用する際の注意点を4つ見てみましょう。

利用規約により住所を登記できない場合がある

バーチャルオフィスの中には、登記用の住所として利用できない旨を利用規約に定めている場合があります。登記が可能かどうか、事前に調べてから契約しましょう。

許認可が必要な一部業種はバーチャルオフィスの住所を登記できない

許認可が必要な一部業種の中には、バーチャルオフィスの住所を登記できない業種があります。
例えば不動産業の場合、継続的に業務を行える施設を事務所としなければならないため、バーチャルオフィスの住所で登記することは難しいでしょう。
事前に、開業予定の業種に関する各種規制を確認しておく必要があります。

社会保険への加入が認められない場合もある

年金保険事務所によっては、「事務所内に帳簿・賃金台帳などの書類が備えられていない」との理由で、バーチャルオフィスを住所とする会社からの社会保険加入申請を却下する例もあるようです。

これを踏まえ、バーチャルオフィスの中には帳簿などの書類保管スペースを用意しているところもあります。バーチャルオフィスを契約する際には、事前に年金事務所へ確認するか、またはバーチャルオフィスに書類保管スペースがあるかどうかを確認しておいたほうが良いかもしれません。

金融機関へ十分な説明が必要になることもある

バーチャルオフィスであっても事業が順調であれば、金融機関との取引に大きな支障はありません。融資を申請する際、バーチャルオフィスであることが理由で申請を却下されることは、基本的にないと考えておいて良いでしょう。

ただし、中には実体のない住所を営業拠点として登録していることに、不安を感じる金融機関もあるようです。金融機関と関わる際には、バーチャルオフィスでも営業に支障がないこと、事業が順調に推移していることなどを、客観的なデータに基づいて説明したほうが信頼は増します。

【まとめ】営業上の支障がなければ積極的に検討したい選択肢

ランニングコストを抑えながら一等地を住所として登録できるバーチャルオフィス。いくつかのデメリットはあるものの、メリットの大きい方法であることは間違いないでしょう。

営業上、バーチャルオフィスでも支障のない業種なら、ぜひ積極的に検討してみたい選択肢です。

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