会社設立に必要な書類を株式・合同・合資・合名それぞれ紹介
目次
株式会社を設立する際の必要書類
株式会社を設立する際に必要な主な書類をご紹介します。
設立登記申請書
法務局に株式会社設立を申請する際に必要となる書類です。商号・本店所在地・登録免許税の額・資本金の額・添付書類の種類などを記載して提出します。
なお、設立登記に際しては登録免許税を納税する必要がありますが、納税方法として現金払いを選択した場合には、法務局が指定する口座へ所定の登録免許税を納税する必要があります。登録免許税の税額は「15万円」と「資本金の1,000分の7」のうち高いほうとなります。
登録免許税の収入印紙を貼付した台紙
設立登記における登録免許税を収入印紙で納税する場合、収入印紙を添付した台紙を提出する必要があります(現金払いを選択した場合には、収入印紙による納税は必要ありません)。
台紙の形式は自由ですが、一般的にはテンプレートをダウンロードして印刷した用紙を使用します。
定款
会社を運営する上での基本的なルールを定めた書類です。記載内容には「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3種類があり、これらのうち「絶対的記載事項」は必ず記載しなければなりません。「絶対的記載事項」の項目は次の通りです。
- 事業の目的
- 商号(社名)
- 本店の所在地
- 設立に際して出資される財産の価額もしくは最低額
- 発起人の氏名・名称・住所
- 発行可能株式総数(株式会社のみ)
なお、定款作成を行政書士に委任した場合、定款作成費用と定款認証手数料(法廷費用)などを合わせて8~10万円程度の手数料がかかります。
設立時代表取締役を選定したことを証する書面
設立時取締役が代表取締役を選定したことに記載した決議書です。
印鑑(改印)届出書
法人の実印を届け出る際に必要となる書類です。届け出を行う者の個人の押印(市区町村に登録した実印を使用)も必要となります。
払込証明書
設立する会社に資本金が払い込まれたことを証明するための書類です。預金通帳のコピーや取引明細票を添付して提出します。
場合によっては必要となる書類
「登記すべき事項」を記載した書面・保存したCD-R
会社の本店所在地を管轄する法務局がコンピュータ庁の場合、登記内容を記載した書面や、登記内容を保存したCD-Rなどを提出する必要があります。コンピュータ庁以外が管轄の場合には、登記用紙と同じ用紙を提出します。
設立時取締役・設立時監査役選任および本店所在場所決議書
会社設立時、発起人の決議で取締役・監査役を選任した場合、および本店所在場所を決定した場合に必要となる書類です。
発起人の同意書
会社設立に際し、発起人が払い込むべき金額や割当てを受けるべき株式数、株式発行事項、または発行可能株式総数の内容が定款に定められていない場合に必要となる書類です。
また、資本準備金を計上するケースにおいて、資本金や資本準備金の金額が定款に定められていない場合にも同書類が必要となります。
設立時取締役・設立時代表取締役・設立時監査役の就任承諾書
会社設立時、取締役・代表取締役・監査役に就任する者が、それぞれの役員としての就任を承諾したことを証明する書類です。各役員の選任・選定に係る決議書の記載により、同書類に代えることもできます。
設立時監査役の本人確認証明書
設立時監査役が提出する住民票記載事項証明書や運転免許証のコピーに記載された内容について、設立時監査役本人が「原本と相違ない」という旨を記載し記名した書類です。
設立時取締役及び設立時監査役の調査報告書及びその附属書類
定款の中に「現物出資を行う」という内容の記載(会社法第28条各号)がある場合に必要となる書類です。
資本金の額の計上に関する設立時代表取締役の証明書
物を現物出資する際、会社法に即して正しく資本金が計上されていることを証明する書類です。資本金が金銭のみの場合には、提出の必要がありません。
株主名簿管理人との契約を証する書面
株主名簿管理人を設定した場合に必要となる書類です。株主名簿管理人を選定した発起人の過半数の一致があったという証明書類も添付する必要があります。
検査役の調査報告書及びその附属書類
現物出資をした際に必要となる調査書類です。ケースにより、提出が必要ない場合もあります。
弁護士等の証明書及びその附属書類
500万円以上の評価額がある物を現物出資した場合に必要となる書類です。不動産を現物出資した場合には、不動産鑑定士による評価書類を添付する必要があります。
なお、不動産鑑定士に不動産の評価を依頼した場合には、不動産評価額に応じた所定の手数料が必要となります(約20万円~)。
有価証券の市場価格を証する書面
市場価格のある有価証券を現物出資した場合に必要となる書類です。
検査役の報告に関する裁判の謄本
検査薬の報告に関して裁判があった場合に必要となる書類です。
委任状
代理人(行政書士など)に定款作成を委任した場合に必要となる書類です。委任状と定款をホチキス止めし、発起人の実印を押した上で提出します。
なお、定款作成を行政書士に委任した場合、定款作成費用と定款認証手数料(法廷費用)などを合わせて8~10万円程度の手数料がかかります。
合同・合資・合名会社を設立する際の必要書類
合同会社、合資会社、合名会社を設立する際に必要な主な書類をご紹介します。
合同会社設立の必要書類
合同会社設立登記申請書
法務局に合同会社設立を申請する際に必要となる書類です。商号・本店所在地・登録免許税の額・課税標準金額(資本金の額)・登録免許税額・添付書類の種類などを記載して提出します。
なお、設立登記に際しては登録免許税を納税する必要がありますが、納税方法として現金払いを選択した場合には、法務局が指定する口座へ所定の登録免許税を納税する必要があります。登録免許税の税額は「6万円」と「資本金の1,000分の7」のうち、高いほうとなります
登録免許税の収入印紙を貼付した台紙
設立登記における登録免許税を収入印紙で納税する場合、収入印紙を添付した台紙を提出する必要があります。現金払いを選択した場合には、収入印紙による納税は必要ありません。
商業・法人登記申請における登記すべき事項を記録した書類
法務局が指定する「登記すべき事項」を記載した書類です。「登記すべき事項」の例として、以下、法務局の公式HPから抜粋します。
「商号」合名会社〇〇商店 「本店」〇県〇市〇町〇丁目〇番〇号 「公告をする方法」官報に掲載してする。 「目的」 1 木材の販売 2 前各号に付帯する一切の業務 「社員に関する事項」 「資格」社員 「住所」〇県〇市〇町〇丁目〇番〇号 「氏名」〇〇〇〇 「社員に関する事項」 「資格」社員 「住所」〇県〇市〇町〇丁目〇番〇号 「氏名」〇〇〇〇 「社員に関する事項」 「資格」社員 「住所」〇県〇市〇町〇丁目〇番〇号 「氏名」〇〇〇〇 「社員に関する事項」 「資格」代表社員 「氏名」〇〇〇〇 「登記記録に関する事項」設立 ※抜粋:法務局公式HP https://www.moj.go.jp/content/001344026.txt |
なお、「登記すべき事項」を記載した書類は、紙媒体のほか、電磁的記録媒体(CD-Rなど)での提出も可能です。
定款
会社を運営する上での基本的なルールを定めた書類です。以下の内容を必ず記載する必要があります。
- 事業の目的
- 商号
- 本店の所在地
- 社員の氏名・住所
- 社員が有限責任社員であること
- 各社員の出資内容と出資金額(評価額)
株式会社に比べて記載内容が非常にシンプルなので、一般的には行政書士に作成を委任することはありません。
印鑑届出書
法人の実印を届け出する際に必要となる書類です。届け出を行う者の個人の押印(市区町村に登録した実印を使用)も必要となります。
印鑑証明書
代表社員の印鑑証明書を提出する必要があります。届け出をしている市区町村から印鑑証明書を取得します。
払込証明書
設立する会社に資本金が払い込まれたことを証明するための書類です。預金通帳のコピーなどを添付して提出します。
以上の他にも、ケースによっては「代表社員就任承諾書」「本店所在地及び資本金決定書」「出資金の計上に関する証明書」などが必要となる場合があります。
合資会社設立の必要書類
合資会社設立に必要となる書類は、合同会社の場合と概ね同じです。登記申請書が「合資会社」用であるかどうかを確認のうえ、作成・提出するようにしましょう。
なお、合資会社設立に係る登録免許税は、申請1件につき一律6万円となります。
合名会社設立の必要書類
合名会社には資本金制度が存在しません。そのため、合名会社設立に際しては、株式会社や合同会社における「払込証明書」の提出は不要です。他の書類に関しては、概ね同じとなります。
なお、合名会社設立に係る登録免許税は、申請1件につき一律6万円となります。
会社設立の必要書類提出時の注意点
会社設立に際しては、設立申請書類を提出すること以外にも、次の3点を押さえておくようにしましょう。
会社設立の流れを知っておく
会社設立に関連する一連の流れをイメージしておくようにしましょう。時系列で概要を見てみます。
1.登記前にやること
まずは、会社運営の基本事項(定款に記載する内容)を明確にします。運営に関わる全員が話し合いの上、全員が納得できる内容を定めましょう。
他にも、代表社印や銀行印、社印などの印鑑作成、定款作成、定款認証など、登記前に行っておくべきことはたくさんあります。
2.定款認証後にやること
定款が認証された後、代表社員の口座開設、資本金の入金、通帳のコピー、払込証明書の作成などを行います。
3.登記する際にやること
登記申請に必要な書類を用意して、管轄の法務局へ提出します。
4.登記後にやること
詳細は後述しますが、登記の完了後、税務署や自治体、労働基準監督署などで所定の行政手続きを行います。手続きには期限があるものも多いので、事前に期限を確認しておくことが大切です。
設立までの期間を把握する
会社設立に着手してから全手続きが完了するまで、概ね1ヶ月半~2ヶ月の期間がかかります。手続きとは別で開業に向けた各種の準備も並行して行うことになるため、余裕を持って行動することが大切です。
会社設立までに要する期間・スケジュールを確認しておきましょう。
会社設立前の準備【約1ヶ月間】
事業目的の策定や印鑑作成など、会社設立前に行っておくべき準備には約1ヶ月間を要します。
会社設立の手続き【約1~3週間】
定款作成・認証を含めた一連の会社設立手続きには約1~3週間の期間を要します。
会社設立後の手続き【約3~10日】
税務署や自治体など法務局以外での手続きには約3~10日の期間を要します。
法務局に提出する以外の必要書類も準備する
会社設立手続きを終えた後には、法務局以外の各窓口で必要な行政手続きを行わなければなりません。それぞれの窓口における具体的な手続きを確認してみましょう。
年金事務所
会社設立から5日以内に、年金事務所に赴いて社会保険関連の手続きを行います。具体的には「健康保険・厚生年金保険新規適用届」「健康保険・厚生年金保険被保険者取得届」「健康保険被扶養者(異動)届」の3つの手続きを行います。
税務署
会社設立から概ね1ヶ月以内に、税務署に赴いて国税に関する手続きを行います。具体的には、「法人設立届出書」「青色申告の承認申請書」「給与支払事務所等の開設届出書」「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」の4つの手続きを行います。
自治体
会社設立から概ね2ヶ月以内に、自治体の窓口に赴いて地方税に関する手続きを行います。必要書類は自治体によって異なるため、事前に自治体の公式HP等で確認しておきましょう。
労働基準監督署・ハローワーク
労働基準監督署・ハローワークに赴いて、労働保険に関する手続きを行います。労働基準監督署では「労働保険 保険関係成立届」「労働保険 概算保険料申告書」の2つ、ハローワークでは「雇用保険 適用事業所設置届」「雇用保険 被保険者資格取得届」の2つの手続きを行います。
手続きの期限は、「労働保険 概算保険料申告書」が会社設立から50日以内、他の3種類は会社設立から10日以内となります。
必要書類が多すぎる…と思ったら
会社設立に必要な書類の種類や手続きの流れなどについてご紹介しました。
ネット上では、「会社設立は自分でできる」という旨の情報が多数見られます。確かに、会社設立を自分で行うことはできますが、上記のような書類を漏れなく揃え、必要事項を正確に記入し、期日までにミスなく全ての手続きを完結させることは、決して簡単ではありません。もとより、会社を設立する目的は営業利益を獲得することなので、事業開始の大切な直前期、発起人は、設立手続きよりも本業の準備をメインに行うべきでしょう。
当ページをご覧いただいて、「自分で会社設立するのは難しい…」と感じた方は、ぜひ専門家による設立代行の利用を検討してみてください。
西井大輔税理士・公認会計士事務所には、税理士だけではなく公認会計士も在籍しています。公認会計士は、司法書士と並んで会社設立登記の代行が可能です(税理士資格のみでは対応不可)。本業である会計監査業務の経験も豊富なので、事業開始後の経営パートナーとしても、きっとお力添えができることでしょう。
ご相談は何度でも無料です。会社設立をお考えの方は、どうぞお気軽に西井大輔税理士・公認会計士事務所までご連絡ください。