会社設立にはどれくらいの期間がかかる?いつから準備が必要?
目次
会社設立に要する最短期間の目安
2~3週間が最短期間の目安
会社を設立するためには、各種の手続きはもちろんのこと、各種の手続きを行うための準備も必要となります。この準備の期間が会社設立に要する期間を左右する、と言っても過言ではありません。
すでに大半の準備を終えていれば、数日で会社設立を完了させることもできますが、まだ準備を始めたばかりであれば、会社設立の完了に1ヶ月以上を要することもあるでしょう。
一般的な例で言えば、会社設立の準備から設立完了までに要する期間は、最短で2~3週間ほど。合同会社であれば2週間程度、株式会社であれば3週間程度はかかると考えておくと良いでしょう。
合同会社に比べると、株式会社のほうが定款の記載事項が多めです。なおかつ、株式会社には「定款認証」と呼ばれる手続きも必要となるため、合同会社より株式会社のほうが、設立に要する期間は長くなる傾向があります。
「1日で会社設立できる」は本当か?
会社設立に関する書籍やインターネット上において、「1日で会社設立できる」という魅力的なキャッチフレーズを目にすることがあります。会社設立を思い立ってから本当に1日で設立が完了するのであれば、設立手続きに要する時間を大幅に節約できるため、その分、本業のスタートに向けて行動を集中させることができて理想的です。果たしてこの「1日で会社設立できる」という情報は、本当なのでしょうか?
結論から言えば、会社設立を1日で完了させることは可能です。ただし、その1日に向けて数日~数週間の準備が必要となります。
ちなみに「会社設立日」とは、会社の登記申請をした日を指します。登記申請を複数日にまたいで行うことはありませんので、その意味では、全ての会社は1日で設立されたと言うこともできます。
通常、会社設立に要する期間を言う際には準備期間も含めているため、もし実質的に1日で会社設立できたという事例があるならば、それは極めてまれな事例と考えるべきでしょう。
会社設立までの流れと必要書類
会社設立までに要する期間を具体的にイメージするため、会社設立までの大きな流れ、および準備しなければならない主な書類について確認しておきましょう。
会社印作成
会社設立登記に必要となる登記申請書には会社印を押すため、会社設立に先立って会社印を作成しておく必要があります。登記申請には「実印」が必要となりますが、事業が始まってからも「銀行印」や「角印」が必要なので、二度手間、三度手間にならないよう、このタイミングで全ての印鑑を用意しておくようおすすめします。
基本事項の決定
定款作成や登記申請の準備という意味からも、会社設立に関する基本事項を決定しておきます。最低でも次の項目は決めておくようにしましょう。
- 商号(会社名)
- 事業目的
- 本店所在地
- 事業年度(4月~翌年3月など)
- 資本金の額
- 出資者
- 株式譲渡の有無
- 役員
- 発行株式総数と1株あたりの株価
- 発起人に割り当てられる株式数
- 発行可能株式総数
一般に、基本事項の決定には時間がかかります。余裕のある時期から内容の検討を始めたほうが良いでしょう。
定款の作成・定款認証
決定した基本事項をまとめた書類が定款(ていかん)です。法令で記載事項が決められているため、可能であれば専門家に相談しながら作成します。
作成した定款は、公証役場で認証を受けなければなりません。法令に準拠して作成されているか否かを確認してもらう手続きです。定款認証には約52,000円の手数料がかかります。
資本金払込
決定した資本金を払い込みます。発起人、または設立時取締役のうち1人の銀行口座に、出資や全員からの出資金を集約する形で振込みします。
現物出資(パソコンやデスクなどによる出資)を行う場合には、対象となる現物の評価額を算定した上で、資本金の一部として貸借対照表に記載します。
登記申請書類の作成
会社設立登記に必要な書類を作成します。商業登記法に従い、必要事項を漏れなく記載する必要があるため、できれば専門家に相談しながら作成したほうが良いでしょう。
会社設立登記
登記申請に必要な書類を揃え、法務局で会社設立登記の手続きを行います。この手続きを行った日が「会社設立日」となります。
なお、法務局の窓口は平日しか開いていません。「1月1日を会社設立日にしたい」「個人的な記念日を会社設立日にしたい」などの希望があっても、平日ではない日を会社設立日にすることはできません。
会社謄本の取得
会社設立登記が完了すると、会社謄本を取得することができます。金融機関からの融資を受ける際など、大事なタイミングで必要となる書類なので、必要に応じて取得しておくようにしましょう。
法人(会社)設立届出書の提出
法務局での会社設立登記をもって会社が設立されますが、設立後に必要な手続きもあるので忘れないようにしましょう。
重要な手続きの一つが、法人(会社)設立届出書の提出です。税務署・都道府県税事務所・市町村役場で行う納税関連の手続きとなります。他にも、社会保険事務所や労働基準監督署、公共職業安定所(ハローワーク)などに赴き、速やかに必要な手続きを行うようにします。
会社設立日を調整することで消費税の優遇を受けられる
会社設立から1期目は消費税の納付が免除される
事業者には、顧客から預かった消費税を税務署へ納付する義務があります。ただし、会社設立から1期目の事業者については、資本金が1000万円以上の事業者でない限り、この消費税納付義務が課されません。つまり、資本金1000万円未満で会社を設立すれば、最低でも1期目(最長12ヶ月)は消費税免税事業者になれるということです。
設立から2期目については、引き続き資本金が1000万円未満であること、および1期目の前半6ヶ月の課税売上高または給与支払額が1000万円未満であることを条件に、再び消費税免税事業者となります。もし、1期目の前半6ヶ月の事業が順調に推移したとしても、売上を後半のほうに計上できるならば、2期目も消費税免税事業者となれる可能性があります。
なお3期目以降については、前々事業年度の課税売上高が1000万円を超えた場合、自動的に消費税課税事業者となります。
設立から19ヶ月間にわたって消費税の納付が免除される方法
設立から1期目の期間が7ヶ月以下の場合(会社設立してから7ヶ月以内に1期目の事業年度が終わる場合)には、たとえその間の課税売上高や給与支払額が1000万円以上であっても、2期目は自動的に消費税免税事業者となります。つまり、最長19ヶ月にわたり消費税免税事業者になれるということです。
この仕組みを利用する形で、1期目の事業期間を7ヶ月以内に収めるよう逆算して会社設立日を設定すれば、19ヶ月にわたって消費税を免税されることになります。
なお3期目以降については、通常通り、前々事業年度の課税売上高が1000万円を超えると、自動的に消費税課税事業者となります。