会社を設立できない人とは?破産や犯罪歴との関係は?
目次
会社設立できない人
会社設立できない人とは、言い換えれば「取締役になれない人」を言います。
会社法331条によると、次の4つに該当する人は取締役の欠格事由に該当するとされるため、会社設立ができません。
- 法人
- 成年被後見人もしくは成年被保佐人に該当する者
- 会社法、証券取引法、破産法など会社に関連する法律違反の罪を犯し、刑の執行が終わり、または刑の執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
- 上記3以外の罪を犯して禁固以上の刑に処せられ、または刑を受けることがなくなるまでの者(執行猶予中の者は除く)
なお法人は、他の会社の取締役になることはできませんが、他の会社の株主になることはできます。
自己破産している人は会社設立できる
「前の会社が倒産して自己破産をしたけれど、この状態でも新たに起業できるだろうか?」とお考えの方もいるようですが、結論から言うと自己破産者でも会社設立は可能です。
ただし、自己破産の手続き中には、次のような制約がある点に注意が必要です。
資格・職業の制約
自己破産の手続きが開始されてから破産免責許可が下りるまでの間、特定の資格や職業に就くことができません。
具体的には、弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、貸金業(登録)、銀行の取締役、警備員、公証人、旅行業(登録)などです。
財産の処分に関する制約
破産手続きを行うと、破産者の生活に支障のない範囲内で、残りの財産は破産財団に帰属します。
この財産について、破産者は自由に処分できません。
居住地や通信の制約
破産手続き開始から破産免責許可が下りるまでの間、破産者は裁判所から許可がない限り、居住地を変更できません。
また、郵便物等は破産管財人に閲覧されます。資産隠しを防ぐことが目的です。
一時的に取締役を退任しなければならない
会社の取締役が破産した場合には、破産開始の決定に伴って取締役を退任しなければなりません。
ただし、その後の株主総会等で選任されれば、再び取締役に就くことが可能です。
自己破産者が会社設立する際の注意点
自己破産によって債務返済の縛りから逃れることができたとしても、破産したという情報は信用保証機関に5~10年ほど残ります(ブラックリストに載る)。
そのため、法的には自己破産者でも会社設立が可能とは言え、実際に会社設立するにあたっては、様々なハードルが存在することを否定できません。
金融機関からの融資を受けにくくなる
ブラックリストに載っている間は、金融機関からの融資を受けられないと考えたほうが良いでしょう。
仮に融資を受けられたとしても金額は少額で、会社設立に足る十分な資金を借りることは難しいと言えます。
ローンやクレジットカードの契約が難しくなる
ブラックリストに載っている間は、事業性のある融資だけではなく、住宅ローンやマイカーローンなどの生活上の融資を受けることも難しくなります。
クレジットカードの利用も制限される可能性が高いため、会社設立以前に、生活に支障が生じる場合もあります。
合同会社の設立は難しい
合同会社の場合、出資者と経営者が同一人物でなければなりません。
破産の影響で融資を受けられない以上、設立は実質的に難しいと考えられます。
次のような人でも会社設立できる?
前科のある人も会社設立が可能
過去に何らかの犯罪を犯した人であっても、冒頭で説明した欠格事由に該当しなければ会社設立が可能です。
未成年者も会社設立が可能
未成年者でも取締役となって会社設立できますが、別途で親の同意が必要となります。
ただし、取締役に就任するためには印鑑証明書の提出が必要となり、役所で印鑑登録をできる年齢は15歳以上とされています。
「15歳以上の未成年」でなければ、会社設立はできないと解釈できます。
外国人も会社設立が可能
外国人でも取締役となって会社を設立できます。