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創業融資を個人事業主として受ける時の審査ポイントとは?

創業融資と聞いて「会社を設立する際に申し込めるもの」というイメージをお持ちの方が少なくないでしょう。
創業融資は会社に限らず、個人事業主の開業においても利用できる制度です。
ここでは、創業融資を受ける際の審査のポイントとなる各種条件や準備、おすすめの創業融資の種類などについて解説しています。

個人事業主が創業融資を受けるための準備と最低限の条件

創業融資にはいくつかの種類があり、それぞれ一定の条件を満たすことで、個人事業主でも申込みが可能となります。

ただし、どの種類の創業融資を申し込むにしても、審査で合格するためには事前に様々な準備をしておく必要があります。
融資を申し込む前に、まずは以下の条件を満たすための準備をしておくようにしましょう。

税務署に開業届を提出しておく

個人事業主として創業融資を受ける場合には、大前提として税務署へ開業届を出しておくようにしましょう。

開業届を出さずに個人事業を行っても特に罰則はありません。
しかし、たとえ罰則はなくても、個人事業主には「事業を開始してから1か月以内に開業届を提出する」という義務が規定されています。
融資を受けるためには、融資元から信用してもらうことが大切です。
信用してもらうためには、開業届を提出するという基本的な義務をしっかりと守りましょう。

ある程度の自己資金を用意しておく

創業融資の条件として、一般的に融資元は自己資金の条件を設定しています。
例えば日本政策金融公庫の新創業融資の場合には、原則として「創業資金総額の10分の1以上」の資金を用意しておかなければなりません。
銀行などの民間金融機関であれば、創業資金総額の3分の1程度を用意しておく必要があるでしょう。

資金計画が明瞭な事業計画書を作成しておく

創業融資を申し込む上で事業計画書を提出することは必須ですが、事業計画書を作成する際には、資金計画を明瞭にしておくことが大切です。

例えば1000万円の創業融資を申し込む場合、「機械の導入に250万円」「事業開始3か月までの運転資金に100万円」など具体的な項目に必要な金額を添えましょう。
そして、最後に「以上の使途に対して合計1000万円が必要」という趣旨でまとめるようにしましょう。

創業する業種で経験を積んでおく

創業予定の業種において、一定の経験を積んでおくようにしましょう。
例えば、それまで経理の仕事しかした経験のない人が、まったく未経験の建設業を開業しようとしても、融資の審査で不合格となる可能性があります。
一般的に未経験の業種では成功確率が低くなるからです。

何らかの業種で創業するならば、同じ業種において最低でも1年半、できれば6年ほどの経験を積んでおくようにしましょう。

開業予定地について十分に調査をしておく

創業融資を申し込むと、審査の一環として創業予定地の実地調査が行われます。

実地調査には申込者が立ち会う形となります(立ち合い不要な場合もあります)。
その際、「なぜその場所を選んだのか」「その場所で開業する優位性は何か」など、明確に説明できるよう十分に調査しておくようにしましょう。

信用情報がクリーンかどうかを確認しておく

過去数年内に何らかの金融事故(クレジットカードやローンの滞納など)を起こしたことがある方は、信用情報機関にその事故情報が登録されています。
融資の審査では、融資元は必ず信用情報の確認をするため、心当たりのある方は、事前に信用情報機関へ問い合わせて自分の事故情報が登録されていないかを確認しましょう。

事故情報が登録されている場合、残念ながら創業融資を受けることは極めて難しくなります。
ただし事故情報は一定期間を経て消去されるので、以後は滞納しないようにし、情報が消去される時期を待ちましょう。

個人事業主におすすめの創業融資

個人事業主におすすめの創業融資について、以下で4種類ほどピックアップしました。
それぞれの概要やメリット、手続きの流れなどを見ておきましょう。

【公的融資】新創業融資(日本政策金融公庫)

もっとも有名な創業融資が、政府系機関である日本政策金融公庫が取り扱っている新創業融資です。
自己資金が少ない方でも、事業計画や資金計画が明確な方であれば融資を受けられる可能性があること、また、無担保・無保証人で融資を受けられることなどがメリットです。
融資限度額は3000万円です。

融資の条件

  • 新たに事業を始める方
  • 事業開始後、税務申告を2期終えていない方
  • 原則として創業資金総額の10分の1以上の自己資金を持っている方、など

手続きの流れ

  1. 支店の窓口で相談(必須ではありません)
  2. 必要書類を揃えて申込み
  3. 面談・各種調査
  4. 審査結果の通知
  5. 融資実行

【民間融資】制度融資(自治体・信用保証協会・金融機関)

自治体・信用保証協会・金融機関の3者が連携し、創業者を応援する融資をしています。
「制度融資」と呼ばれることもあります。
融資自体は民間金融機関から実行されるため形式上は「民間融資」となります。

自治体と信用保証協会が関与していることから一般の民間融資に比べて審査のハードルが低く、かつ金利も低い点がメリットです。
東京都の場合、融資限度額は3500万円となります。

融資の条件(東京都の場合)

  • 東京都内で創業する具体的計画を持っている方
  • 創業した日から5年未満の中小企業者または組合、など

手続きの流れ

  1. 融資相談(制度融資を取り扱っている金融機関、または自治体の窓口)
  2. 必要書類を揃えて申込み
  3. 面談・各種調査
  4. 審査結果の通知
  5. 金融機関での融資手続き
  6. 融資実行

※自治体によって手続きの流れが異なります。

【民間融資】銀行融資

銀行から直接創業融資を受けることもできます。
公的融資に比べて審査がスピーディなこと、融資限度額が高いこと(上限が設定されていないことも多い)、融資に成功すれば社会的信用力が上がることなどがメリットとなります。
ただし、公的融資に比べて審査は非常に厳しくなることも理解しておきましょう。

融資の条件(例)

  • 担保・保証人の設定
  • 過去2期分の決算書の提出、など

※銀行により条件は異なります。

手続きの流れ

  1. 銀行に相談
  2. 必要書類を揃えて申込み
  3. 面談・各種審査
  4. 審査結果の通知
  5. 融資実行

【民間融資】信用金庫からの融資

多くの信用金庫でも創業融資に類した融資を提供しています。
信用金庫は、その営業地域の経済的な繁栄を目的に設置されている金融機関なので、特に地域密着型の中小企業は有力な融資元候補の1つ。
公的融資や銀行融資よりも返済金利は高めに設定される傾向がありますが、銀行に比べて審査に通りやすいなどのメリットがあります。
個人事業主にも積極的に融資をしている点もメリットです。

融資の条件

  • 信用金庫の会員になる
  • 信用保証協会からの保障を受ける、など

※信用金庫により条件は異なります。

手続きの流れ

  1. 信用金庫に相談
  2. 信用保証協会で信用保証の申込み
  3. 信用保証協会の面談・各種審査
  4. 審査結果の通知
  5. 信用金庫からの融資実行

創業融資と補助金・助成金の違い

創業時に受けられる資金繰りの方法として、創業融資の他にも補助金や助成金があります。
それぞれの違いを簡単に理解しておきましょう。

創業融資とは

創業融資とは、公的機関や民間などから創業に必要な資金を貸してもらうことを言います。
貸してもらう以上は、申込みの時点で審査があり、かつ返済義務もあります。
元本と金利をあわせ、決められた返済期間で定期的に返済をします。

補助金とは

補助金とは、創業資金や運転資金などを必要とする事業者に対し、一定の条件のもとで国・自治体などから給付される資金を言います。
給付である以上、返済義務はありません。

なお、補助金には予算が決まっているため、すでに予算に達していた場合には、たとえ条件を満たしていたとしても給付されません。

助成金とは

助成金も補助金とほぼ同じ意味の給付金になりますが、補助金は予算に達した時点で募集停止となるのに対し、助成金は条件を満たしていればほぼ支給される仕組みとなります。
ただし補助金に比べると、助成金の給付金額は低く設定されていることが一般的です。

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