横浜で飲食店を開業するなら知っておきたい申請や条例
ここでは、横浜で飲食店を開業する際に必要な届出や許可・資格、開業するまでの流れ、開業に掛かる費用、空き店舗を活用した横浜市の助成事業などについてご紹介します。
横浜市で飲食店の開業を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
横浜で飲食店を開業する時に必要な届出・許可・資格
横浜で飲食店を開業する際に必要な届出・許可・資格などをご紹介します。
食品営業許可申請
飲食店を開業するためには、横浜市の各区にある福祉保健センター生活衛生課、または国の「食品衛生申請等システム」を通じ、食品営業許可申請が必要です。
許可を受けるためには、食品衛生法や条例で定める各種基準を満たしている必要があります。
食品衛生責任者
食品衛生責任者とは、飲食店などにおける衛生管理や衛生管理指導などを行うスタッフを言います。
飲食店を営業する場合には、必ず1人以上の食品衛生責任者を店舗内に配置しなければなりません。
調理師や栄養士などの有資格者は食品衛生責任者を兼任できます。
兼任可能な有資格者が店舗内にいない場合、スタッフが講習会を受講して食品衛生責任者の資格を取得する必要があります。
横浜市では、各保健所や保健センターで食品衛生責任者の講習会を開催しています。
防火管理者
収容人数が30人以上の飲食店を開業する場合には、防火管理者を配置する必要があります。
延べ床面積300㎡以上の店舗には「甲種」、300㎡未満の店舗には「乙種」の防火管理者を置きます。
横浜市では、主に一般財団法人日本防火・防災協会が実施する講習会を受講すれば、防火管理者の資格を取得できます。
飲食店を開業する流れ
横浜で飲食店を開業する際の全体的な流れを見てみましょう。
- どのような飲食店にするかを検討(コンセプトの決定)
- 店舗の事業計画を策定
- コンセプトや事業計画に適した物件探し
- 開業資金を調達
- メニューを開発
- 店舗の設計・デザイン・施工
- 厨房設備を購入し設置
- 備品・什器を購入
- 管轄する行政庁に届出
- スタッフの採用・研修
- 開業
飲食店の営業は「事業」である以上、漠然と開業するのではなく、明確な事業計画に沿って開業することが大事です。
また、詳しくは後述しますが、開業に必要な資金を用意することも大きなテーマ。
飲食業界で働いた経験のない方が銀行融資を申し込んでも、思ったほどの金額を融資してもらえない可能性があります。自己資金も十分に用意して開業に臨むことが大切です。
横浜市が行っている「商店街空き店舗活用事業(空き店舗開業助成事業)」
横浜市では、空き店舗を利用して開業する方に向け、開業経費の一部を補助する「商店街空き店舗活用事業(空き店舗開業助成事業)」を行っています。
横浜市内にある空き店舗を再利用する形で開業する方に向け、開業に要する経費の一部を助成する制度です。
飲食店も対象となっているので、条件に該当する場合には、ぜひ制度の活用を検討してみましょう。
助成内容
不動産仲介手数料を除いた店舗賃貸契約に掛かる初期費用を全額補助します(補助限度額は50万円)。
ただし、開業後1年未満で事業を廃止したり店舗を移転したりした場合には、給付された助成金を返還しなければなりません。
定められている申請の条件
制度を利用するためには「申込者の条件」「空き店舗の条件」「開業の条件」を満たす必要があります。
以下、それぞれについて横浜市公式HPから引用してご紹介します。
引用元:横浜市公式HP
申込者の条件
次のいずれかに該当する者
- 登録店舗かつ商店会の希望する業種で開業し、希望する時間を含めた営業をする者
- 「横浜市特定創業支援等事業」により支援を受けたことを証する者
(「5 横浜市特定創業支援等事業の一覧」に記載されているいずれかのセミナーを受講していただく必要があります。) - (公財)横浜企業経営支援財団の「横浜ビジネスグランプリ」において、ファイナルに選出されたプランで開業する者
空き店舗の条件
- 市内商店街の区域内に所在する店舗であること
- 商店街の主要な道路又は通路に直接面している建物の空き店舗であること
- 百貨店、駅ビル等大型商業施設のテナント型店舗でないこと
※本人又は三親等以内の親族が所有する空き店舗は除く。
開業の条件
- 1年以上継続して事業を行うことが見込まれ、かつ、原則として週4日以上開設し継続的に運営する事業であること
- 開業するエリアの商店会へ1年間以上加入すること
- 開業等に必要な資格等を有していること又は開業までに有する見込みがあること
- 市町村民税(特別徴収分・普通徴収分)を滞納していないこと
- 暴力団及び暴力団員でないこと。また法人の代表者または役員(法人格を持たない団体の場合は代表者)が暴力団員でないこと
- 過去3年間に当該補助金を受けていないこと
※原則として市内からの移転による開業、来街者向けではない事務所等は補助の対象外です。
横浜市の飲食店開業に関する条例
横浜市の飲食店営業に関する主な条例をご紹介します。
飲食店を開業する際には、以下のような横浜市の条例の他にも、食品衛生法などに基づく各種の共通ルールがあります。
専門家によく相談し、国や自治体のルールを遵守して飲食店を開業しましょう。
施設共通基準
「神奈川県食品衛生法に基づく営業の施設基準等に関する条例等」により、飲食店の施設に関する共通基準が設けられています。
施設共通基準の対象は、大きく「衛生的な作業を実施するための施設」「作業区分に応じた区画等」「施設の構造及び設備」の3種類。
条例では、それぞれについて詳細なルールが決められています。
その他施設基準
「神奈川県食品衛生法に基づく営業の施設基準等に関する条例等」により、飲食店(簡易な飲食店)の施設に関する基準が設けられています。
飲食店(簡易な飲食店)とは、「そのままの状態で飲食に供することのできる食品を食器に盛り付ける、そうざいの半製品を加熱する等の簡易な調理のみをする営業」を行う飲食店のこと。
酒類以外の飲み物を提供する喫茶店も含みます。
ふぐ営業等に関する申請・届出
ふぐの処理を行う飲食店を開業する場合には、神奈川県の条例に基づく「ふぐ認証」の取得が必要です。
飲食店の開業に掛かる費用の目安
飲食店の開業に掛かる費用の目安を見てみましょう。
開業費用は、飲食店の種類や規模、導入設備、店舗の場所などによって大きく異なります。
ですが、どのような店舗であれ費用項目は「物件取得費」と「店舗投資費」に大きく分けられます。
物件取得費
店舗となる物件を確保するための初期費用です。家賃に加え敷金(保証金)が必要となります。
横浜市の飲食店の場合、敷金の相場は家賃の約10か月分。
仮に1か月の家賃が30万円であれば、敷金として300万円を用意する必要があります。
店舗投資費
厨房設備や店舗備品の購入、内装・外装工事などに掛かる費用が店舗投資費です。
横浜市の飲食店の場合、店舗投資費の相場は「1坪あたり50~100万円」ほど。
仮に20坪の飲食店を開業するならば、店舗投資費として1000~2000万円が掛かる計算となります。
なお、居抜き物件を引き継ぐ場合には、店舗の前オーナーに対して必要な設備や什器などの譲渡費用を支払わなければなりません。
横浜で飲食店を開業する際の営業施設の基準
飲食店を開業する際には、衛生上・管理上の一定基準を満たしている必要があります。
横浜市における飲食店の施設基準の概要を見てみましょう。
営業施設の共通基準
飲食店・喫茶店の両方に共通する基準として、以下のようなものなどに関する細かい規定が設けられています。
- 場所
- 建物
- 内壁
- 換気
- ねずみや虫などの防除
- 洗浄設備
- 器具
- 運搬具
- 給水設備
- 便所
飲食店営業に関する特定基準
飲食店営業の基準として、以下の5種類に関する細かい規定が設けられています。
- 冷蔵設備
- 洗浄設備
- 給湯設備
- 客席
- 客用便所
喫茶店営業に関する特定基準
喫茶店営業に関する特定基準として、以下の3種類に関する細かい規定が設けられています。
- 冷蔵設備
- 客席
- 客用便所