残高証明書の作成(会社設立時に必要な手続き)
会社設立の際に提出が必要となる書類の1つとして、ここでは残高証明(払込証明書)について解説します。
残高証明書(払込証明書)とは、会社の資本金が払い込まれていることを示す大切な書類。作成手順はシンプルですが、やや手間がかかる作業のため二度手間にならないよう正しく準備を進めていきましょう。
目次
会社設立の際には資本金の残高証明(払込証明書)が必要
旧会社法では、会社設立の際の資本金払い込みを証明する書類として、金融機関から「払込保管証明書」を発行してもらい、法務局へ提出する必要がありました。
この原則的ルールは、平成18年の新会社法の施行により、会社代表者が作成した「残高証明(払込証明書)」の提出のみで可、という内容に変更されています。原則として、金融機関に「払込保険証明書」の発行を依頼する必要はなくなりました。
残高証明(払込証明書)を作成する流れ
新会社法における残高証明(払込証明書)を作成する流れを確認しましょう。
1.発起人名義の個人口座を用意する
資本金を払い込む時点では会社が設立されていないため、資本金の払い込み口座は発起人名義の個人口座となります。
2.資本金を入金する
発起人名義の個人口座へ資本金を入金します。入金した名義人と金額が印字されるよう「振込」で入金することが理想です。
3.残高証明(払込証明書)に必要な部分のコピーをとる
資本金が払い込まれた口座の預金通帳の中から、以下のページのコピーをとります。
- 表紙
- 表紙の裏面
- 振り込みの内容が印字されているページ
インターネットバンキングの場合には、次の内容が記載されたページをプリントアウトします。
- 銀行名・支店名・預金種別・口座番号
- 口座名義人の氏名
- 振り込みの内容が記載されているページ
4.払込証明書を作成する
上記の添付書類の表紙となる部分として、以下の内容を記載した払込証明書を作成します。
- 払い込まれた金額の総額
- 設立時発行株式数
- 1株分の払込金額
- 日付
- 本店所在地
- 会社名(商号)
- 代表取締役氏名(捺印も必要)
5.払込証明書と添付書類をホッチキスで綴じる
払込証明書を表紙とし、上から順に「表紙」「表紙の裏面」「振り込みの内容が印字されているページ」を重ねてホッチキスで綴じます。各ページの境目に代表者の契印を押して完了です。
残高証明(払込証明書)を作成する際の注意点
残高証明(払込証明書)を作成する際の注意点を3点ほど確認しておきましょう。
「募集設立」の場合には「払込金保管証明書」が必要
新会社法により「払込保管証明書」が不要となった設立形態は「発起人設立」のみです。「募集設立」の場合には、旧会社法と同様に金融機関から「払込保険証明書」を発行してもらう必要があります。
既存の残高を一度ゼロにしてから資本金を払い込む
資本金払込口座となる発起人個人の口座に既存の残高がある場合、一度お金を引き出して残高をゼロにし、改めて資本金を払い込むことが推奨されます。発起人個人の財産と資本金とを区別するためです。
「入金」「振替」での払い込みも可能だが「振込」が理想
資本金の払い込みについて、「入金」や「振替」も利用できますが、共同経営などを前提とした会社設立の場合には、後々のトラブルを防ぐため入金者や金額が印字された「振込」を選ぶようおすすめします。
【まとめ】ヌケ・モレなく正しく作成しましょう
会社設立時における残高証明の作成手順や注意点などについて解説しました。
残高証明の作成は、決して難しくありません。ただし、やや手間と時間のかかる作業となるため、円滑な会社設立のためには計画的に残高証明書の作成を進めていく必要があります。二度手間にならないよう、ヌケ・モレのないよう正しく作成していきましょう。